TDS スリッページ設定について

はじめに

MQL5で見つけたスキャルピングEAがめっちゃ良さそうに見える!バックテストしても結果が良い!安い!買おう( ´艸`)

…そう意気込んで実際に稼働すると資金が溶けていく経験はありませんか?

私はあります(実体験)

何故そんな事になるのかというと、短時間取引主体のスキャルピングEAであることが原因です_(:3 ⌒゙)_

 

上記の画像は同じEAの結果です。

この結果はスリッページ設定の約定遅延が関係します。

 

スリッページ設定の選択

スリッページタイプの設定には約定遅延・ディーラースタイル・標準偏差の3項目があります。

今回設定していく項目は約定遅延です。

成行注文・指値注文の遅延時間を設定することで、EAの取引毎に最小~最大(ミリ秒)の範囲で注文が遅延します。

 

レイテンシの計測

遅延時間を設定する前に、実際に使用するリアル口座・VPS環境でのレイテンシを計測を行いました。

FX業者Axiory
Axiory サーバー東京
口座種類nano(ECN口座)
VPSお名前ドットコム
使用EALatencyEA
期間2022年12月21日~2022年12月23日

 

Latency EAは注文・キャンセルを行い、1連の動作が成立するまでの時間(レイテンシ)を最小・平均・最大時間を計測するEAです。

Latency EAによって、レイテンシを計測できました。

 

約定遅延 設定

計測したレイテンシを使って設定します。

最小レイテンシ78ms
平均レイテンシ133ms
最大レイテンシ891ms

このまま、最小時間と最大時間を設定すると

78ms~891msの間で約定遅延が発生します。

この設定でバックテストを行ってみましょう。

上記画像を見るとわかりますが、平均133msよりも遥かに高い値になっています。

実際の平均レイテンシとバックテスト上の平均レイテンシに差異がある状態です。

これではバックテストのほうが条件が悪くなっています。

理由は単純で平均レイテンシと最大レイテンシの差がありすぎるからですね。

最大レイテンシの設定を調整します。

この状態でバックテストを行います。

実際の取引環境に近づいたのではないでしょうか?

 

スキャルピングEA バックテスト

約定遅延の設定もおおまかに決まったので比較していきます。

まずはスリッページを無効にした状態でバックテストを行いました。

見事な右肩上がり。

しかし、これで約定遅延を最小78ms、最大230msに設定すると下のグラフになります。

約定遅延を設定すると見事な右肩下がりになりましたorz

実際の取引環境に近いのは約定遅延の設定なので、実際に動かしてみると損切り祭りになるということです\(^o^)/

 

ついでなので、スリッページ設定のディーラースタイル・標準偏差をデフォルトの状態でバックテストしてみます。

どちらの設定でも利益が出ますが、実際の取引環境に近いかと言われると違うと思われます。

 

スキャルピングEAがリアル口座では損失が出る理由

数秒から数分単位での超短期取引を行い続けるスキャルピングEAにとって、レイテンシの遅延はそのまま機会損失、損切りに繋がる一大事です。

スキャルピングEAのレイテンシの最低条件が100ms以下であり、1~10msが理想とも言われています。

私の環境では平均133msなのでスキャルピングEAを扱う最低条件を満たしていないため損失を重ね続けることが分かります。

ただ、スキャルピングEAの理想である最小1ms・最大10msの設定でバックテストしてみても右肩下がりになるから不思議(´・ω・`)

もしかしたら約定遅延した時点で駄目なEAだったのかな?

スキャルピングEAがデモ口座で利益が出る理由

リアル口座では使えなくてもデモ口座では利益を重ねることがあります。

リアル口座とデモ口座では取引の過程が違います。

今回はECN口座での取引の流れを説明します。

リアル口座の取引の流れは下記の通り。

1.EAがMT4を通じて注文をFXサーバーに発信

2.FXサーバーから市場(インターバンク)に転送

3.市場(インターバンク)で注文成立

 

ではデモ口座の取引の流れはどうでしょう?

1.EAがMT4を通じて注文をFXサーバーに発信

2.FXサーバーで注文成立

 

デモ口座は注文を市場に流すことはなく、FXサーバーで注文が成立するためリアル口座に比べレイテンシは小さくなります。また、スリッページやスプレッドの拡大も起きにくい状態です。

結果として、デモ口座でのスキャルピングEAの成績は向上しやすいという理屈です。

 

まとめ

LatencyEAで計測できたレイテンシをもとにスリッページ設定を変更しバックテストを行うと、VPS運用環境に近いバックテストを行うことができます。

もしかしたら実際の取引環境より悪い可能性も捨てきれませんが、その状態のバックテストで利益が出てるEAならそこまで心配する必要はないかなと思います。